東京清陵会会長あいさつ 両角新会長挨拶 原前会長退任挨拶

原会長両角 寛文(もろずみ ひろふみ)(78回生)

 私は本年の定時総会にて東京清陵会会長に選任いただいきました78回生の両角寛文と申します。
どうぞ宜しくお願い致します。まず、退任され顧問にご就任された原大前会長におかれましては、
東京清陵会の発展にご尽力いただき、誠にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

 私は丁度50年前の1972年4月に、諏訪中学から諏訪清陵高校に入学しました。担任は数学の
伊藤邦雄先生。入学後のホームルームで「私は君達が生まれる前から清陵に勤めている。」と
おっしゃったことを鮮明に覚えています。3年間放送委員会に所属し、放送番組の制作や清陵祭での
放送劇の上演などに取り組みつつも、放送室での取り留めのない雑談やトランプに興じたことが、
今も懐かしく思い出されます。

 1975年4月に大学入学のために上京し、以来47年間、就職/転職/結婚/子育てなどを経つつ、
ずっと関東で暮らして参りました。そして本年6月をもって長年勤めた会社を定年により退職したこと
から、東京清陵会の会長をお引き受けすることにしました。それと言うのもこの歳までなんとかやって
こられたのは、清陵時代に培われた「自主独立の精神」に依るところが大きいと日頃から感じており、
これからの人生において、少しでも母校へ貢献することで恩返しをしたいと考えた次第です。

 さてコロナ禍は足掛け3年に及び、私達の社会生活に大きな影響を及ぼしました。在宅勤務やオン
ラインによる会議/授業は当たり前のこととなりましたが、一方でコミュニケーションの希薄化による
様々な問題や課題も指摘されております。この間東京清陵会においては、87回生・88回生・89回
生の皆さんのご尽力により、会報「東京清陵会だより」の発行を継続すると共に、総会・懇親会につい
ては一昨年こそ中止となりましたが、昨年は総会イベントをオンラインにて開催、そして今年はリアルと
オンラインのハイブリッド形式にて開催することが出来ました。困難な環境下において、東京清陵会の
活動にご尽力いただいた当番幹事学年や事務局の皆さんに心より感謝申し上げます。そしてこの経験を
通じて、コロナ後の新しい同窓会のあり方が、かなり鮮明に見えて来たのではないかと感じております。

 東京清陵会の目的は「親睦・交流/研鑽/母校生徒支援」の三つとされております。この目的の達成に
向けた課題として、同窓生のネットワークを更に拡充・深化させることが大変重要です。幸いなことに
清陵OB・OGには、幅広い分野で活躍している人材が多くおられます。東京清陵会がハブとなりこう
した人材を繋ぎ、互いに刺激し合いまた連携を深めることでより大きな渦が出来上がり、結果として母校や
生徒に貢献できるものと考えております。その為にも功刀副会長にご尽力いただいておりますホーム
ページに加えて、特に若い同窓生や学生にリーチすべく、FacebookやTwitterなどのSNSやYouTubeによる
情報発信・共有を、活発にして参りたいと思います。

 東京清陵会は、1952年に同窓会東京支部として発足以来、今年で70周年の節目を迎えました。これを
期に会員の皆様にとってより魅力的で有意義な同窓会活動となるように、また、母校の発展と生徒の成長に
貢献できるように、一層、充実した活動にして参りたいと考えております。引き続き会員の皆様からの物心
両面に亘る熱いご支援、ご協力を心よりお願い申し上げまして新任のご挨拶とさせて頂きます。

退任につき思うこと

原前会長原 大(73回生)

 去る10月2日に開催されました第56回定時総会におきまして、東京清陵会会長を退任させて頂き、後任の
両角寛文さんにバトンタッチ致しました。2期4年の会長在任中における皆様のご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。

 思えば、会長在任中の大半が未だ収束を見ていないコロナ禍に翻弄された時期でありました。2019年の初回の
定期総会こそ従来通り賑々しく開催出来たものの、翌年2020年は活動自体が休止状態となり、定期総会は一旦
延期したものの結局中止の已む無きに至りました。2021年も定期総会は2年連続開催出来ませんでしたが、しかし
当番幹事の方々の頑張りで当日に初のオンラインイベントを実施して頂きました。また諸活動もオンラインでの再開が
進みました。そして今年2022年、同窓会最大イベントの定期総会といえども未だコロナ禍の中であり、本部や他支部と
同様に3年連続で対面開催は避けるべきか、一方、3年連続対面開催しないのは組織上問題であり、ウィズコロナの社会的
風潮を追い風にして先陣を切って対面開催に踏み切るべきか、決断を迫られました。最終的には可能な限りのリスク対策を
講じた上で3年振りとなる対面総会の再開を幹事会で決定頂き、オンラインと合わせた初のハイブリッド開催となりました。
任期最後で定期総会の対面開催の再開に漕ぎ着けることが出来て大いに安堵致すとともに、当番幹事の皆さんや事務局、
委員会の方々の大変なご尽力、加えて当日ご参加の皆様の熱意に心より感謝致した次第です。

 振り返って見ますと、新型コロナウィルスの世界的パンデミックの発生、ブレグジット、東京オリンピックの1年延期に
無観客開催、挙句の果てにロシアによるウクライナへの侵略戦争の勃発など、歴史に残る激動の一時期でもありましたが、
そんな中、私自身にとって同窓会としての東京清陵会を想う上で深く心を打つお話を聞く機会がありました。それは昨年、
2年連続で対面での定期総会開催が不可となり、オンラインイベントを開催した折、ミニ講演会の講師の一人であった
88回生の木澤さんのお話でした。

 彼は神戸大学院の医学科研究科の教授をされていて、専門は特に「緩和ケア」という治るここが難しい患者さんの末期ケアの
臨床と研究をされているのですが、臨床経験から実感されていることとして、「幸せとは、究極的にはリレーションシップ
(関係性)に依存するもの」であり、海外の研究でも「幸せは富や名声、名誉との相関はなく、近しい人たちとの関係性と
相関がある」と実証されており、そして「人との関り合い」によって最後まで人は成長できる、と言うことでした。また彼は
高齢で独り住まいの父親に会うために月に1度は必ず諏訪に帰ると決めている、とのことでした。これから何回父親と話せる
機会が残っているか分からないので、コロナでその機会を失いたくない。コロナのリスクより父親と会う機会価値の損失の方が
はるかに大きい、と言ったことでした。来年こそは対面での定期総会を開催すべきだと、強く背中を押された気持ちにもなりました。

 改めて人生の大変多感な時を同じ学びの場で過ごした繋がりのこの東京清陵会を想う時、幸福な人生に必要なのは富でも
名声でもなく近しい人との関係性である、と言うことや、人との関り合いによって最後まで人は成長できる、と言うことと
重ね合わせてみると、東京清陵会はその目的としている「懇親・交流」、「研鑽」、「母校生徒支援」の活動を通じて、我々の
人生を幸せに豊かにしてくれるコミュニティーの一つたりうるもの、と強く想うところであります。人生100年と言われる
これからの時代においてこそ、輝きを増す存在となってゆくことを心より願うものであります。